有明海の夕日
今回は海苔の作り方についてお話ししたいと思います。
お歳暮の時期になるとデパートでもよく目にする海苔ですが、毎日のお弁当にも欠かせない食材として使われていますね。
キャラ弁を作るときなど特に海苔は欠かせないアイテムとなっています。
私もたまにネットでキャラ弁を検索して見ていますが、そのクオリティの高さに驚くとともに、お子さんへの愛情の深さと、よそのママには負けたくないという闘争心をヒシヒシと感じます。
昔から日本の食卓で親しまれてきた海苔。どのようにつくられ、私たちの食卓に届けられているのでしょうか。
今回、海苔の作り方について、改めて見ていきたいと思います。
それでは早速、コラムに入っていきましょう!
目次
■今回のコラムのメリット
今回の海藻コラムを読むことで、得られるメリットは…
- 海苔の作り方(養殖の工程)がわかる!
- 手巻き寿司を食べながら、お子さんに海苔のお話しを聞かせて上げることができる!
- お子さんが学校でお弁当を食べながら、海苔を話題におしゃべりができる!
以上の3つです。
ぜひ今回も読んでみてくださいね。
■海苔とは? 海苔の歴史とは?
海苔はいつから食べられるようになり、そして、どのようにして海苔は、私たちが見慣れたあの形になったのでしょうか?
以前のコラム
『長いとも言えるし、短いとも言える、意外な海苔の歴史』
https://okagesamanet.com/seaweed/1684-2/
でも書きましたが、現在の近代的な海苔養殖の歴史は以外に浅く、まだ70年ほどしかたっていません。
しかし海苔の歴史はとても古く、約1300年前の大宝律令の規約の中に、税のひとつとして海苔が登場します。
朝廷の税の品物にピックアップされるくらいですから、当時の海苔はとても貴重なもので、奈良時代から平安時代にかけて、海苔や昆布を佃煮に加工したものが売られていましたが、庶民にとっては高嶺の花であったようです。
そして、鎌倉時代になり、貴族の時代から武家の時代に変わったことで、武家の質素倹約の考えから精進料理が広がり、一般的に海苔が使われるようになっていったようです。
現在のような四角の海苔が登場したのは江戸時代の中頃。
その四角い海苔を使った、海苔巻きが大流行したそうです。
この頃には、網を使う海苔の養殖方法はある程度確立してはいたのですが、まだまだ海苔の養殖は自然に頼るところが大きく、運にまかせるところもあったことから『運草』という別名がありました。
この不安定な海苔の養殖方法は戦前まで続くのですが、そこからイギリスの女性生物学者が、海苔について、ある重要な事実を発見したことをきっかけに、熊本県の研究者が海苔養殖の近代化に大きく貢献することになるのですが、そのあたりのお話しは、海藻コラム『長いとも言えるし、短いとも言える、意外な海苔の歴史』に詳しく掲載していますので、ぜひご覧ください。
では、海苔の歴史はここまでにして、どうやって海苔が作られるのか、その手順を詳しくお話ししていきますね。
■海苔はどこで養殖されているの?
海藻を食べるのは日本人だけというイメージがありますが、海苔は中国や韓国の海でも食用として栽培されています。
では、日本の海苔の主な産地はというと、北から宮城県の松島湾と仙台湾、東京湾、愛知県の三河湾、伊勢湾、瀬戸内海、有明海、八代海があります。
毎年、夏の間にカキ殻を寝床のようにして育てた海苔の素になる殻胞子嚢(かくほうしのう)が、秋になるとたくさんの胞子を放出します。
その胞子を海苔の栽培に使う網に付着させます。これを種付けと言います。この作業をしないと、海苔の養殖がスタートできませんので、とても重要な工程なのです。
ここまでを海苔養殖場の室内(海で行うところも有)で行い、その後海苔の長さが2~3cmになるまで海で育てます。これを葉状体といいます。
■海苔の収穫は?
この葉状体が付着した網を海の中に支柱を立てて網を引っ張って設置します。
(葉状体が付着した網は半乾きの状態にしてビニール袋に入れて冷蔵庫に保管します)
そして、干満を繰り返す海の中で、葉状体の長さが10cm以上に成長したら収穫です。
有明海の海苔養殖場
昔は葉状体を手で摘み取っていましたが、現在は専用の船を使って効率よく収穫をしています。
収穫した後も、海苔網をそのままにしておくと、1~2週間もすると、また葉状体が育ち、2回目の収穫ができます。
こうして、同じ海苔網で何度も収穫ができるのですが、これを繰り返していると収穫量が減ったり、病気になってしまうため、その時は、冷蔵庫に保存していた、葉状体が付いた網と交換して収穫を続けます。
葉状体を付着させた網を一度に全部使わずに、冷蔵庫で保管している理由は、今言ったように、収穫が出来なくなったり、病気になってしまったときの交換用として必要だからなのでした。
機械化された海苔養殖
こうして、海苔の収穫は12月末から翌年の2月末頃まで続けられます。
海苔は気温と水温が低く、日照時間が短く、降水量が多い気象条件でないとよく育たないのです。
つまり、寒い冬の時期が海苔の収穫時期ということです。
でも、これは、日本列島の中間の養殖地域の期間なので、北にある松島湾や仙台湾では、すこし早い時期から収穫がはじまりますし、南の有明海や八代海では、もっと遅い時期からはじまります。
少しずつずれているのですね。
12月の間しか採れない品種もあり、海苔の収穫は微妙な条件で成り立っています。(黒磯旨のり)
■海苔の加工方法
では、ここからは私たちが見慣れた、四角い海苔になるまでの工程のお話しです。
収穫された海苔は陸揚げして、しっかりと洗浄され、ミンチのように細かく刻まれた後、海苔簀(のりす)(巻き寿司に使う『まきす』に似たもの)の上に、横19cm☓縦21cmの大きさに形を整えられた状態で乾燥し『乾し海苔』になります。
この海苔のミンチから、乾し海苔になるまでの工程は全て機械化されています。
海苔簀(のりす)(イメージ)
そして、乾し海苔はさらに水分を飛ばすため、火入れの工程、さらに高温で焼かれて『焼き海苔』になります。
ちなみに、『焼き』と『味付け』を繰り返すことで、味付け海苔になります。
このような工程を経て、海苔は私たちの食卓に届けられるのですが、現在は、海苔の収穫から製品化までが全て機械化されているのです。
■海苔の作り方をお話しようと思った背景について
私が今回、海苔の作り方についてお話しようと思ったきっかけは、私、海藻太郎が小学生の時代までさかのぼります。
40年近く前になりますね。海藻太郎が育った土地は海が近く、小さな漁業の町でした。
寒くなると海の近くにいくつもある小さな倉庫の中から、「ゴーッ!!」とボイラーの音が響いていました。
倉庫の中をこっそり覗いてみると、海苔簀(のりす)の上に、四角い海苔が貼り付けてあり、一枚一枚手作業で海苔の乾燥作業が行われていました。
そして最初の海苔は縁起物として、顔見知りの漁師から『乾き海苔』を分けてもらっていました。ですから海藻太郎は海苔が海藻で最初から四角ではないことは知っていました。
しかし、海苔は他の海藻と同じように、お店で製品を買うだけ。
どうやって育てられ、収穫され、加工されて食卓にあがるのかが見えない。
せっかく海苔を食べるのだから、海苔の背景についても子育て中のお母様やお子様にも知ってもらいたいと思い、今回コラムとして取り上げました。
■まとめ
今回は海苔の作り方についてお話しました。
今、この12月はまさに海苔の収穫の真っただ中です。
私たちカネリョウ海藻がある熊本の有明海でも海苔の収穫が朝早くから行われています。
海苔が今のように気軽に食べられるようになったのは、戦後になって海苔の生態が解明され、機械化がすすんでからのことです。
高級な贈り物として使われる海苔。そしてスーパーでも気軽に買える海苔。
品質のランクはあるものの、1年を通して親しまれている海苔の背景がまた少し分かっていただけたのではないでしょうか。
毎日の朝ごはんやお弁当で、もし海苔を使うことがありましたらぜひ、今回のコラムのことを話題にお子さんと会話を楽しんでみてくださいね。
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