海藻コラムの3回目では海藻が地上の植物のように、光合成をする生き物だということが分かりましたね。
では、海藻にも地上の植物のような、根っこや茎や葉っぱと同じようなものがあるのか?
そして海藻はどこから栄養をとっているのか?という疑問も出てきます。
そこで、今回の海藻コラムは海藻に、根っこや茎や葉っぱはあるのか?
そして海藻はどうやって栄養をとっているのか?についてお話ししていきたいと思います。
■今回のコラムを読むと得られる知識
今回のコラムを読むことでこんな知識が得られます!
・海藻についての知識がさらに深まる。
・海に行ったときや水族館に行ったときの楽しみが倍増する。
・ちょっとした豆知識として友だちに自慢ができる。
などなど、今回も海藻がますます好きになる知識をお話ししたいと思います!
■海藻を見た目で分かったつもりになってはいけない。
まだ海藻について詳しくなかった頃の私の考えでは、海藻も地上の植物と同じように、根っこから水や養分を吸い上げて生きているのだろうと考えていました。
昆布もワカメもそのほかの海藻についても、植物辞典などをみれば、茎や葉のような部分はあるし根っこもあるから間違いないと思っていました。
でも、海藻と地上の植物は、見た目が似ていたとしても、まったく違う生き物なんです。
せっかくのいい機会なので、ぜひこのコラムで海藻と地上の植物との違いを覚えてみてくださいね。
■海藻と地上の植物の違い
地上の植物はたくさんの種類に分類されていますが、海藻は藻類に分類されています。
住む環境も違いますし、生物学的にもまったく違う生き物です。
ですから、茎や葉や根っこのように形が似ていたとしても、その役割は違うわけです。
※イラスト1
植物の葉にあたる部分は、海藻では「葉状部」(ようじょうぶ)、
植物の茎にあたる部分は、海藻では「茎状部」(けいじょうぶ)、
植物の根にあたる部分は、海藻では「付着器」」(ふちゃくき)と言います。(※イラスト1参照)
昆布やワカメやヒジキにも茎や葉や根っこに似た部分があるじゃないか!!と思った方もいらっしゃるかと思いますが、昆布やワカメやヒジキは、海藻の中でも形が複雑な海藻で、陸上の植物と形が似ていたりします。
そのため、葉や茎や根などと勘違いされてしまうのですが、形は似ていても、その役割は地上の植物とまったく違います。
たとえば、根っこにあたる部分「付着器」の役割ですが、海藻が海の中で流されないようにするため、つまり岩場にしっかりと体を固定するための役割しかありません。
後で説明しますが、しっかりと体を固定させる役割だけがあれば充分なんですね。
そして、陸上の植物は根から養分を吸収しますね。
それは植物が生きていくために必要な窒素やリンが土の中に多く含まれているからです。
いっぽう、海の中にも窒素やリンが多く含まれているため、海藻は養分を体全体で吸収します。
地上の植物のように、根っこだけから養分を吸収するよりも、体全体で吸収するほうが効率がいいわけです。
つまり海藻は、根っこではなく、体全体で養分を吸収すると言うわけです。
だから、付着器は根っこと似た形をしていますが、岩場に体を固定するだけでよいわけです。
茎もそうです。
ワカメや昆布には茎と似た部分がありますが、地上の植物とは違い重力に逆らって上へ上へと成長する必要がありません。
そして、水分も下から根っこを通して全身に行き渡らせようとしなくても、体全体が海の中に浸かっているわけですから、直接水を吸収すればいいわけで、体のすみずみまで水を運ぶ必要がありません。
だから海藻には茎も無いのです。
■勘違いされやすい海藻の知識
私が今回、海藻の葉や茎や根っこ、そして養分をどこから吸収しているのか?というコラムを書こうと思ったキッカケなのですが、これは海藻のことを勉強していくうちに、海藻と植物は、見た目は似ていても生き物としてまったく違うもの同士だということが分かったからでした。
また、特に植物の根っことよく似ている付着器が、実は根っこのように養分を吸収する役割をまったく持っておらず、海の中で流されないように体を固定するためだけのものだと分かったときの驚きと感動をこのコラムを読んでくださっている読者の方々や、小さなお子さんをお持ちのお母さんたちに知っていただきたいと思ったからでした。
今までのコラムでも、海藻と海草の違いが分からなかったり、昆布は海の中でも出汁が出ているんじゃないか?と思っていたり、海の深さによって海藻の色が変わっていたり等など、海藻について知らないことや勘違い、間違った知識が本当に多いことをお話ししてきました。
ですから、この海藻コラムを通して、少しでも海藻についての知識を深めていただけたらと思って、毎月お届けしています。
「根も葉もない~」
という言葉をご存じだと思います。
この言葉の由来は、根や葉がなければ、植物は育ちませんよ。という事から生まれたそうです。
でも、この言葉は海藻には当てはまらないことが今回分かりましたね?
海藻には先ほどお話ししたように、根も葉もありませんが海の中でスクスクと育っています。
スクスクと育つ理由は先ほどお話ししたとおりです。
太古の昔、海藻と地上の植物は、海の中で同じ種類の生き物だったそうですが、私たち陸上で暮らす動物と魚や鯨のように海で暮らす動物と地上で暮らす動物へと、分かれてしまったように、それぞれ独自の進化をしてきたことが分かります。
■まとめ
第4回目のコラムは、海藻に葉や茎や根っこはあるのか?
そして海藻はどこから養分を吸収するのか?についてお話ししました。
海藻には似た形ではあっても、葉や茎や根は無いことが分かりましたね。
また、地上の植物は根から水や養分を吸収しますが、海藻は体全体で吸収することも、今回知ることができました。
海に行って、お魚や貝などの生き物は意識しても、なかなか海藻には目が向かないものです。
地味な存在の海藻ですが、海藻も知れば知るほどおもしろい生き物なんです。
今度、海に行ったときは、ぜひ波打ち際に漂う海藻にも目をむけてみていただけたらうれしいです。
ちなみに社員が一から養殖した有明海天草産のわかめと、新鮮で肉厚な三陸産めかぶは以下からお試しいただけます。